「あっ!先生?」
「ん?」
「ラブホって、ヤるのが目的のホテルなんでしょ?」
「あ?あぁ」
「でも先生は私とラブホに行ったけど何もしませんでしたよね?」
はい?
「お前は生徒で俺は教師だ。生徒とヤれるわけねぇだろ?お前の客のエロオヤジと一緒にすんな」
「でも……」
速水はそこまで言って言葉を切った。
「でも、何だよ?」
「何を言いたかったのか忘れちゃいました。デヘヘ」
忘れんなよ、バカ!
気になるじゃねぇか。
「あ、でも、私のお客さんはエロオヤジとは違います!さっきも言ったじゃないですか!エッチはしてないって」
何もしなくても女とラブホに入った時点でエロオヤジなんだよ。
……と、言うことは俺も?
いやいや、俺は違う。
「あ、でもね、何もしないと言っても、お客さんと手を握ったり、キスしたり、抱き合ったり……。たまに口で……」
「だぁ!もうそれ以上言うな!」
速水の言いたいことはわかった。
もう、何も言うな。
「そろそろ帰るか」
「そうですね」
俺と速水は車に戻った。
エンジンをかけ、オートエアコンの温度をマックスにする。
冷えた体にエアコンの温風が染み込んでいった。



