「先生は信じてくれないんですね……」
「速水のことは信じてやりてぇよ?でもな、エンコーしてて処女とか、ラブホに行ってもセックスしないとか、世間一般の意見としては信じられないんだよ」
学校でも噂になってるだろ?
速水は知らないかもしれないけど。
あの噂になってるのが、世間一般の答えなんだよ。
「でも本当なんです。話をして愚痴を聞いてあげて、手を握ってあげるだけで満足してくれるんです。きっと皆、寂しいんです……。私と同じで寂しいんですよ……」
「速水……。わかった。お前の話は信じるよ」
こんなバカが嘘をつけるとも思わねぇし。
「ありがとうございます」
「でもな、ホントにもう辞めろよ?パクられてからじゃ遅いんだからな?」
「実は、高校を卒業したら辞めようと思ってるんです。私自身、いつまでもこんなことしたくないし、親とは縁を切ります。だから卒業するまでは続けます」
「俺としては今すぐ辞めて欲しい。でも速水がそう言うなら……。だけど大丈夫なのか?」
娘の命より金が大事な親なんだ。
辞めるってわかったら……。
「それは、わかりません。でも話してみます。殺されそうになったら逃げます。私、逃げ足だけは早いんで」
速水はそう言ってエヘヘと笑った。



