「うん。○○駅じゃないな」
「じゃあ、ここはどこですか?」
「山の上」
「どこの?何山?」
「知らん」
「えぇぇぇ!!!」
速水が目を見開き、俺を見た。
「うるせぇよ」
「あ、わわ、ゴメンなさい!って、何で山の上なんですか?」
「そこに道があったから……」
俺はタバコを咥え、火をつける。
「そうじゃなくて!」
わかってるよ。
何で山の上に来たのか理由が知りたいんだろ?
「星が見たくなったから。だから山の上に来た。これで納得?」
俺は煙を吐き出し、速水をチラッと見た。
「納得です。って、じゃあ、もしかして……」
やっと、わかったかバーカ。
「天体観測。天文部の最初で最後の部活動だ」
俺はそう言って、タバコを灰皿に押し付けた。



