温かい飲み物を買って、コンビニを出て車に戻った。
「紅茶で良かった?」
「わわ、ありがとうございます」
カップホルダーに紅茶のペットボトルを置いた。
俺は自分に買った缶コーヒーのプルタブを開け、コーヒーを一口飲む。
「で、自分ちの場所を思い出した?」
「へっ?……あ、あぁ。思い出しました」
「じゃあ、教えて?」
「はい」
俺はそう言って、缶コーヒーをカップホルダーに置くと、車をバックさせた。
「どっちに出ればいい?」
「右に……」
「右ね」
俺はそう言いながら車を左折させた。
「えっ?せ、先生?右って……」
「あ、ゴメン。俺、右折苦手なんだよね」
って、嘘だけど。
「そうですか……」
「どう行けばいい?」
「このまま、しばらく道なりに……。って、私、極度の方向音痴で……」
「知ってる」
最初に会った時に言ってたもんな。
「○○駅、わかります?」
「あぁ」
「そこ、うちの最寄り駅なんで、そこまででいいです」
「了解」
俺は○○駅に向かって車を走らせた。



