ホテルを出たあと、断る速水を無理矢理、車に乗せた。
もし、このまま帰したら客のところに行くかもしれない。
そう思ったから……。
でも、待てよ?
このまま家に送り届けて大丈夫か?
金を持って帰らなかったら命の危険があるかもしれない。
それか、俺が帰ったあとに、客のところに行くかもしれない。
それだけは避けたい。
「速水?家、どの辺?」
「あ、えっ?家、ですか?えっと……」
「自分ちの場所もわかんねぇの?」
「いや、そういうわけじゃ……」
多分、速水は俺に自宅の場所を知られるのが嫌なんだ。
俺は、車をコンビニの駐車場に入れた。
「俺がコンビニから出て来るまでに、自分ちの場所を思い出せ」
俺はそれだけ言うと、速水を残して車から降りた。