「はっ?だって、お前……」
両親がちゃんといるじゃねぇか。
なのに何でお前が、家族を養わなきゃいけねぇんだよ。
「嘘、なんです……」
速水は俯き、そう呟いた。
「はっ?嘘?」
「両親が共働きとか、全て嘘なんです」
両親が共働きとか嘘って……。
もしかして……。
「両親は仕事をしてないのか?」
「正解です!両親共に無職です」
速水はそう言ってエヘヘと笑った。
って、そこ笑うとこ?
笑うとこじゃねぇだろ。
「両親は私が小6の時に離婚したんです。私は母親に引き取られ、生活をしていくために、母親は夜の仕事を始めて、そこで客と知り合い、私が高1の時に母親はその再婚したんです」
「うん、それで?」
俺はタバコを取り出し、1本咥えると火をつけた。
「新しい父親は、全く働かない人で、昼間から酒を飲んでパチンコするような人で……。母親も再婚してからって言うか、あの男と知り合って変わりました。吸わなかったタバコを吸うようになり、仕事も辞め、昼間から男と一緒に酒を飲み、パチンコをして……。冷めた目で見られ、私なんて厄介者で、あの人達から見たら私なんて金を稼いでくる道具にしか思ってないんですからね」
速水はクスッと笑った。
いやいや、だから笑うとこじゃねぇだろ。
なんだよ、この絵に書いたような不幸な家庭環境は……。
娘を働かせて、自分達は昼間から酒にパチンコかよ。
なんだよ、それ……。



