「せん……」
「何やってんだよ!テメェは!」
俺の怒鳴り声で体をビクンと揺らす速水。
「仕事、です……」
「はぁ?高校生の仕事は勉強だろ?てか、うちの高校、バイト禁止なの知ってるよな?」
「バイトじゃなく仕事なんです!」
そんなのどっちでもいいんだよ!
「これが学校にバレたらどうなるかわかってんだろ?」
「わかってます」
「だったら!」
「仕方ないじゃないですか!」
速水はベッドの上に座り直すと、俺の言葉を遮ってそう叫んだ。
「学校にバレて退学になっても、この仕事は辞められないんです。だから先生?学校に言ってくれてもいいですよ」
「言わねぇよ。でも何で辞められないんだよ?」
「仕事を辞めたら生活していけないからじゃないですか。先生だって仕事を辞めたら生活していけないでしょ?それと同じです」
「だったら!他にもあんだろ!高校生らしい仕事が!」
てか、生活していけないって言い方おかしいだろ?
お前は主婦かよ!
「それじゃあダメなんです!」
「だから何でダメなんだよ!」
「時給700円とか800円のような仕事じゃダメなんです……。短時間で高額を稼がないとダメなんです」
「それは何で」
俺はそう言ってベッドの縁に座った。
「それは……」
「それは?」
「私が家族を養ってるから……です……」



