「今日は、本当にありがとうございました!」
駅のホーム。
改札の前までいいと言ったのに、間宮さんはホームまで来てくれた。
「また、いつでもおいで。何でも好きなもの食わしてやるから」
「そんなこと言ったらホントに行きますよ?」
「いいよ。琴梨ちゃんなら大歓迎だからさ」
間宮さんは、そう言ってクスッと笑った。
その時、電車が来ることを告げるアナウンスがホームに響いた。
「琴梨ちゃん?」
「はい」
「もしさ、凪に告ってフラれたら……」
間宮さんがそこまで言った時、電車がホームに入ってきた。
電車のドアが開き、人が降りてくる。
「間宮さん、さようなら」
私はそう言って電車に乗ろうとした。
「琴梨ちゃん!凪にフラれたら俺んとこに来来なよ。俺が琴梨ちゃんを……」
間宮さんが、そこまで言った時、電車のドアが閉まった。
私は閉まったドアの窓から間宮さんに笑顔を見せた。
先生にフラれたら……。
告白するかどうかもわかんないのに……。
私はそう思ってクスッと笑った。
でも先生の空っぽになった心を埋めてあげたい……。
私は窓の外の流れる景色を見ながらそう思ったんだ――……。
―琴梨Side end―