「先生?」
「あ?」
「私、先生にお土産を買ったんです」
土産?
速水は鞄をゴソゴソと漁り、神社の名前が書いてある白い袋を出して、俺に差し出した。
「どうぞ。御守りです」
「あ、うん。ありがとう」
俺は速水から袋を受け取る。
「受け取ってもらえて良かったです」
速水はエヘヘと笑った。
俺は、御守りが入った紙袋をジャージのポケットに入れた。
「さて、そろそろ部屋に戻るか。ついて来い」
「えっ?せ、先生!?それは困ります。先生と私は先生と生徒の関係で……」
「あぁん?」
俺は眉間にグッとシワを寄せ、速水を見た。
「先生、怖いです……」
「お前が変なこと、言うからだろ?誰が俺の部屋に泊めるっつった?」
勘違いすんじゃねぇよ。
もし泊めたとしても襲わねぇから安心しろ。
お前には欲情しねぇから。
「あ、そうなんですね。私、てっきり……アハハ……」
バーカ。
「花房先生に頼んでやるから、ついて来い」
今年の修学旅行に女性の先生がいて良かった。
「あぁ!先生!待って下さ~い!」
速水はそう言って、荷物を持つと俺のあとをついて来た。



