「校長?それは誤解です」
「誤解?」
俺は今朝あったことを校長に話した。
話し終わったあと、校長の口からは溜め息が漏れる。
「事情はわかりました。でも今後、誤解を招くような真似はしないで下さいね」
「はい、わかりました。以後、気をつけます」
まぁ、何とか誤解は解けたから良かった。
俺はそう言って、ソファーから立ち上がり、校長に会釈をして校長室を出ようとした。
「あ、神谷先生!それから……」
ドアノブを握る手を離して、校長の方を向いて、校長に聞こえないように小さく舌打ちをした。
「まだ、何か?」
俺は校長を笑顔で見た。
……ったく、次の話は何だよ。
さっさと早く終わらせろよ。
テメーみたいに暇じゃねぇんだ。
心の中ではそんなことを思いながら、校長には言えるはずもなく、上辺だけの笑顔を浮かべていた。