前の席の花房先生と速水の会話が聞こえてくる。
「あら、速水さん。膝から血が出てる」
「あ、これですか?さっき、こけちゃって」
速水がデヘヘと笑う。
まだカットバンをつけてなかったのかよ。
「消毒したほうがいいわ」
「大丈夫です。これくらい」
「傷跡が残ったら大変よ。速水さん、綺麗な脚してるから……」
ガサガサと何かを漁る音がする。
多分、救護バッグの中の消毒液を探してるんだろう。
「あった!花房先生?お菓子、食べませんか?」
って、速水が鞄の中を漁ってたのかよ!
「少し滲みるかもしれないけど我慢してね」
「はいっ!」
そう返事をした速水の口から次には“痛い”と言う言葉が出ていた。
何度も痛いと繰り返す速水。
それくらい我慢しろよ。
「はい!これで大丈夫!」
「ありがとうございました!」
お礼を言う速水。
次の瞬間、バリバリとスナック菓子を食べる音が聞こえてきた。



