彼女は名刺を受け取り、それをジッと見つめる。
「○○高校、教諭。神谷(カミヤ)、凪(ナギ)……って……」
彼女が丁寧に名刺を読み上げ、そして顔を上げ俺を見ると……。
「わわ!ホントに○○高校の先生だったんだ!疑ってゴメンなさい!」
彼女は上半身を90度に折った。
「いや、信じてもらえればそれでいいから……」
「ホントにゴメンなさい。てっきり変な人かと……」
彼女は体を起こし、そう言うと“ヘヘ”と笑った。
変な人、ねぇ……。
「先生?早く学校へ連れて行って下さい!」
「あ?あぁ」
さっきまで、おにーさんと呼んでいたのが、先生に変わった。
それに先生だとわかった途端に連れて行けって……。
まぁ、警戒心の強いのはいいことだけど。
公園を出て、彼女を車に乗せると、エンジンをかけ、ゆっくり車を出した。