「わわ!すいません!」
速水は慌てたように謝ると、頭を下げた。
早く帰ってくれ……とも言えず……。
「あ、そうだ!」
速水はそう言って、鞄の中をガサガサと漁る。
「これ、お見舞いの品です」
そう言って差し出したのは、オレンジ色した棒付きのキャンディ。
「ホントは今日、ハロウィンだから先生にお菓子をプレゼントしたくて沢山、持って来てたんだけど、事情によりキャンディだけになっちゃいました」
事情って何だ?
まぁ、いいや……。
「ありがとう」
速水から素直にキャンディを受け取る。
「いえ、毒とか入ってないので食べて下さい。あ、じゃあ、私はこれで……」
「あぁ、気をつけて帰れよ」
「はいっ!」
速水が俺に背を向けた時……。
俺の視界がグニャグニャと歪んでいって……。



