化学室のドアを開ける。
「せんせぇ!」
先生を呼ぶけど、返事がない。
まだ来てないのかな?
今の私にとって、まだ先生がいないのは好都合。
いつもの席に座って、鞄からお菓子を取り出す。
解けてるリボンを取って、中身を出す。
お菓子を机の上に広げる。
粉々のクッキー、潰れたチョコ、割れたキャンディ。
これもダメ、これも、これも……。
…………あっ!
綺麗なままのキャンディがひとつだけあった。
棒付きのオレンジ味のキャンディ。
良かった。
ひとつだけでも綺麗なお菓子があって。
私は使い物にならないお菓子を透明のラッピングフィルム入れ、鞄に突っ込んだ。
オレンジ味のキャンディを鞄の内ポケットに大切に入れた。