放課後の化学室と授業中の化学室って何か雰囲気が違う。
黒板の前には白衣を着た先生。
長めの黒髪、切れ長の目、高い鼻。
形のいい唇。
背が高くて細身。
教卓に手をついて、少し俯き加減で教科書を読む先生の低い声。
声を聞いてるだけで私の胸は“ドキドキ”して弾けそう。
机に肘をつき、手の上に顔を乗せて先生を見ていた。
「何だか、今日の先生って疲れた顔してない?」
「あ、私もそう思った」
私の席の近くにいた女の子2人のそんなセリフが聞こえてきた。
えっ?
私は先生の顔を凝視する。
教科書を読み終わった後、小さく溜め息をついた先生。
確かに……。
何か、いつもの先生と違うような……。



