「ホッチキス、もうひとつ持って来るよ」
俺はそう言って椅子から立ち上がろうとした。
「先生?」
「ん?」
速水に呼び止められ椅子に座り直す。
「私が紙を重ねていくんで、先生はホッチキスで留めていって下さい」
「ん、あぁ……」
速水はそう言って、紙を重ねて俺に渡す。
それを俺がホッチキスで留める。
「ねぇ、ねぇ、先生?」
「ん?」
「何か、これって初めての共同作業って感じですね」
速水はそう言って、また変態オヤジみたいにデヘヘと笑った。
「はっ?」
そう声を上げて、ホッチキスを留めていた手が止まった。
いきなり何を言い出すんだよ。
コイツは……。



