「先生、早~い!」
「そうか?」
そう言って、重ねた紙をホッチキスで留めるために手を伸ばした。
…………ん?
ホッチキスにしては感触が軟らかい。
紙からホッチキスに目をやると……。
「…………あっ!」
思わず声が出た。
先にホッチキスを掴んでいた速水の手を握っていた。
軟らかい感触は速水の手だったのか……。
速水を見ると、目を見開き驚いた顔で重なった手を見ている。
「あ、ゴ、ゴメン……」
そう言って手を離す。
「い、いえ。ちょっとビックリしました」
速水はそう言ってエヘヘと笑った。
「俺もビックリした」
そう言って笑い、気まずい雰囲気になるのが嫌だったのか、お互い笑い合った。



