俺と速水で黙々と作業をしていく。 化学室に響くのはホッチキスの音だけ。 紙を重ね、ホッチキスで留めていく単純作業。 しばらく作業を続け、沈黙を破ったのは速水の鼻歌だった。 聴いたこともない鼻歌。 コイツ、音痴か? いや、でも七夕の歌は途中からハミングだったけど、上手かったよな……。 「その歌は何?」 「へっ?あ、オリジナルです」 速水が笑顔でそう答えた。 オリジナル……。 「……へぇ」 そう言って、また黙々と作業を続ける。 ホッチキスの音にプラスされ、速水の鼻歌が化学室に響いていた。