「どうすんだよ、これ!」
「えっ、えっと……」
速水は手の平でヨダレの跡を必死に撫でる。
そんなんで濡れたとこが乾くとでも思ってんのか?
「あ、あの……ゴメン、なさい……」
シュンとなり謝る速水。
速水の目は見る見る潤んでいき、ポタポタと大粒の涙が零れていった。
「えっ?は、速水?」
今度は俺が慌てる番。
「せんせぇ?ゴメン、なさい……」
「い、いや……」
困ったなぁ。
まさか泣かれるとは……。
速水に頼んだ俺が1番悪い。
「速水、もう泣くな。お前に頼んだ俺が悪かった」
「うわぁーん!先生、ゴメ゙ンな゙ざ~い!」
うわぁーんって、幼稚園児かよ!
「もう泣くなって!またコピーしたらいいから。ほら」
俺はスーツのポケットからハンドタオルを出して速水に差し出した。



