「何だよ」
「先生、まさかタダってわけじゃないですよねぇ?」
「はぁ?」
タダって、当たり前だろ?
「これって仕事でしょ?普通、仕事をしたらお給料をもらえるでしょ?」
うん、まぁ、速水の言ってることは正論だ。
でもな、俺から給料をもらおうなんて10万年早いんだよ。
「速水、ボランティアって言葉、知ってるか?」
「はい、知ってますよ~」
「この仕事はボランティアだ。わかったか?」
俺の言葉に不思議そうな顔をして俺を見る速水。
「わかったか?」
俺が、さっきより少し大きな声でそう言うと、速水は体を“ビクン”と揺らして、頭をコクコクさせて頷いた。
わかったんならいいけど。
「俺も後で手伝うから」
俺の言葉に、さっきから頭をコクコクさせ頷く速水。
お前はニワトリか!
俺はニワトリな速水を残して、準備室に行った。



