「ねぇ!」 彼女の背中に声をかけると、背中が少し揺れた。 彼女が、ゆっくり振り返る。 “ドクン、ドクン――” 胸が激しく高鳴る。 そして……。 彼女が、こっちを向いた時……。 俺の胸は、ありえないくらい高鳴った。 「…………なな、せ?」 思わず口から出た言葉。 俺が、今でも愛してる人の名前。 俺の前から、いなくなった人の名前。 ――七星(ナナセ) 七星が会いに来てくれた。 そう思っていたのに……。 目の前の彼女は不思議そうな顔で俺のことを見ていたんだ。