「で、今日はブラブラして帰るんじゃなくて用があるんだ」
「えっ?あ、はい。今日は、ちょっと用があって……。でもそれは秘密です」
「彼氏とデート?」
そう言って、チラッと速水を見た。
「ちちちち違います!彼氏なんていませんから!」
“ち”が多い。
てか、速水はそう言いながら俺の腕をバシバシ叩いてきて痛い。
「速水、痛い……」
「わはっ!ゴ、ゴメンなさい!」
速水は顔を赤くして謝ってきた。
彼氏がいないなんて……。
なぜか意外だと思った。
「先生が変なこと言うから暑くなったじゃないですかぁ!」
「それは悪かった」
俺はそう言って、オートエアコンの温度を下げた。



