「私、夢の中で先生に起こされてるんだと思って……。でもホント現実に起こしてくれてたんですね」
そんなこと、どーでもいいわ!
「あ、わ、私、先生のセイにしてゴメンなさい!」
速水は上半身を90度に折って謝ってきた。
この格好、久しぶりに見た。
「わかればいいよ」
「ホントにゴメンなさい。あの、これ……」
速水はそこまで言うとガサゴソと鞄を漁る。
「お詫びの品です。受け取って下さい」
速水が手にしていたのは、ラップに包まれたおにぎり。
三角とも俵とも言えない、丸いおにぎり。
しかもデカイ。
「いや、いいから……」
「そう言わずに。あっ!梅干し苦手でした?だったら、昆布がいいですか?」
速水は再び鞄の中を漁る。
いやいや、そういう意味で断ったんじゃないから……。



