「てかさぁ、今日、何かあった?」



話をぶった切ったのは和也だった。


空になった食器をトレイに乗せながらそう言った。



「何かって何?」


「いや、琴梨ちゃん体操服着てるから、学校で何かあったのかなぁって……」


「あ、これですかぁ?」



速水が自分の着ている体操服に目を落とす。



「今日、池に落ちちゃって、制服が濡れたから体操服に着替えたんです」



速水はそう言って笑った。



「池に落ちちゃったって、琴梨ちゃんってドジだなぁ」



和也もそう言ってクスクス笑う。



「ねー。私ってホントにドジなんですよぉ」


「あ、良かったから制服、洗う?」


「えっ?いいんですか?」


「あぁ、洗濯機あるし乾燥も出来るよ」


「わぁ!ありがとうございます」


「いいえ、こっち来て?」


「はいっ!」



速水は荷物を持つと、和也に連れられてキッチンの方へ行った。


俺は氷の溶けたアイスコーヒーを一気に飲み干すと、タバコを吸うために店を出た。