「うーん……何だろう……」 速水はそう言って、スプーンを口に咥えたまま天井を見る。 しばらく、そのままだった速水は口からスプーンを取り、俺の方を向いた。 「結婚して、子供を生んで、平凡だけど幸せな家庭を築くことですかねぇ?」 速水はそう言って“フフ”と笑った。 幸せな家庭かぁ……。 その時、速水が書いた短冊を思い出した。 目の前にいる速水は共働きで家庭をかえりみない両親から愛されたいと思っている。 だから余計に幸せな家庭を築くことを願っているのかもしれない……。