「にしても、うさぎちゃんって本当に千里ちゃん大好きだよねぇ」

「何よいきなり」


眞野の手当てを終えて、他の人の手当てもしてあげようかと考えていると唐突に東雲が呟いた。


「だってさっき絡まれてた時もさ、千里は可愛いのよーってマシンガントークしてたじゃん」

「何だとっ?!」


ニヤニヤからかうように言った東雲の言葉に食い付いたのは、近くで心配する千里にデレデレしていたバカだ。


「てめぇ、余計なことすんじゃねぇよ」

「何がよ?」

「千里が可愛いのは当たり前だ、でもあいつらが千里の可愛さに気付いて惚れたらどうしてくれんだっ」


ギッと睨む神沢には焦りの色が見える。


「ちょっ、そんな事ある訳無いですよっ?!」

「・・・そうね、迂闊だったわ」


千里が否定するも、考えてみるとそうだ。
もし、今回の事で相手が千里の可愛さに気付いて惚れてしまったら、千里に危険が及ぶかもしれない。


「あ、梓まで変な事言わないでよー」

「変な事じゃないわ・・・事実よ」

「そうだぞ千里、お前が可愛いのは事実だ」

「東雲くん、眞野先輩っ二人が可笑しくなってます!」


助けて下さい、と東雲達に顔を真っ赤にしながら助けを求める千里。


「「可愛い・・・」」


二人同時に呟けば、東雲が吹き出し、眞野は苦笑い、千里は逃げる様にそんな二人の側に。

私と神沢は、どちらが千里の可愛さをより多く知っているかの対決を繰り広げた。

私に勝とうなんて、百万年早い。