「なに?宗樹怪我したの?」


手当てをしているとひょっこり東雲が現れる。


「ちょっと、邪魔!」

「邪魔って、体張って助けたのにひどくなぁーい?」

「う・・・」


事実だから何も言い返せない。


「だ、だからちゃんとお礼言ったでしょ?!」

「えー?誠意が見えないなぁ?」

「あ、あんたねぇっ」

「いってぇっ!!」


手元を見ると、怒りで力が入りすぎたのか、思いっきり眞野の傷口に消毒液たっぷりのコットンを押し付けていた。


「ご、ごめんっ大丈夫?!」

「あ、あぁ・・・大丈夫」


大丈夫と言いながらも、手で傷を隠して私から少し離れる眞野を見ると、かなり痛かったのだろう。


「きゃーうさぎちゃん、こわぁーい」

「うっさい!元はと言えばっ」


わざとらしく怖がる仕草をする東雲にイラッとする。


「わりぃ宇佐見、ガーゼ、貼ってくれねぇか?」


東雲のペースに乗せられていると、眞野が苦笑いをして遠慮がちにガーゼを渡してきた。


「あ、ご、ごめん」

「いや、ありがとな」


ありがとう、と言った眞野の笑顔にドキドキしながらガーゼを貼る。

好きな人に、にっこり笑ってありがとうなんて言われたら誰だってドキドキするよね?

顔、赤くなってないかな。