「あ、梓おかえり」

「ただいま」


素知らぬ顔をして帰りのHR前の教室に戻れば、私に気付いた千里が駆け寄って来る。


「どうしたの？」

「え？何が？」

「何か浮かない顔してる」


私の顔を見た千里が、心配そうに覗き込む。


「大丈夫、多分寝起きだからそう見えるだけだよ」


安心させるように、ニッコリ笑えば納得いかなそにしながらも千里は頷いた。


「今日も行くの？溜まり場」

「ううん、今日は蓮次先輩用事があるって」

「そっか」


行かなくていい事にホッとした。

眞野の事もあるけど、何より東雲とは会いたくない。