「あ、そろそろ帰らなきゃ」


壁に掛かっている時計に目をやれば、もう8時を過ぎていた。

最近ここで過ごす時間が、とても早く過ぎていく様に感じる。
楽しい、と思っている証拠なのかもしれない。


「千里、帰るよー」


眞野と東雲の間から抜け出して、千里に声をかける。


「千里は俺が送って行く」


千里の横に座っていた神沢が、勝ち誇ったように私に言う。

こいつは何故か私と張り合おうとする。

周りからは最強だとか言われているけど、ただの馬鹿なんじゃないかとここ一ヶ月で思うようになった。