「グループリング」

「もうそろそろ着くぞー。降りる準備しとけー」
先生のバカみたいに大きい声がバスの中に広がる。
窓の外を見てみるともともと高かったテンションが
さらに上がった。
「わー、鹿だぁ！美琴、見て見て鹿がいっぱいいるよ！」
「本当だ。すっごいねぇ」
みなさん、私たちがどこに来ているかわかりましたか？
そう、奈良！奈良ですよ。
東大寺です！
そこら辺に鹿が歩いててびっくり！
窓の外を見てキャーキャー言っていると
バスが止まった。
どうやら到着みたい。
「わーい、着いたー！」
いろんな人が騒いでいてざわざわしてる。
「梨花、私トイレ行きたいから先行ってて」
「うん、了解」
美琴はトイレに行くらしいです。
じゃあ、私は先に集合場所に行っておこうかな。
きょろきょろと文香たちを探す。
あ、いた。
とっさに声をかけた。
「おーい、文香たちー！」
駆け寄って行ったら文香たちから返事がなかった。
聞こえなかったかな。ざわついてるもんね。
そう思いもう一度声をかける。
「文香！」
今度は文香の肩を叩いて声をかけた。
だけど、文香はこっちを向かない。
むしろ、私の手を振り払って、みんなで離れて行った。

え？何？今、どうなってる？
今のって無視？
いやいや、そんなことあるわけないじゃん。
私ったらまた疑うようなこと言って。

けど、次の瞬間、私に悲劇のような出来事が起きる。

「おまたせー！」
そう言って走ってきたのは美琴だった。
「みこ・・・」
美琴！と声をかけようと美琴にてを伸ばしたとき
美琴は私を無視して私の前を通り過ぎた。

そして、文香たちは。
「ごめん、遅くなったー」
「もう、めっちゃ待ったよ〜」
走りよった美琴をいつも通りグループの輪に
入れた。

何事もなかったかのように。
美琴をいれた４人は歩き出した。