「きいてなかったあんたに、もう一回言って
あげる」
安音が息をのむ。
「私はこいつが苦しむ姿を、泣き叫ぶ姿を見たい
だけなのよ。私は特するわ」
何度聞いても胸に突き刺さる。
まだ優しくて元気な文香の記憶が
残っていて、今の文香が信じられなくて
何度聞いても泣きたくなる。
「…もう、やめてよ…」
小さく呟く。
前の文香に戻ってほしい。
「ふみ…」
「あんたっ、それでも人間なの!?なんで
…っなんでそんな酷いことが言えるのよ
!もういいでしょ!!十分でしょ!!もう…
解放してあげてよ…。私たちは…、
梨花は!あんたたちのおもちゃじゃない
んだからっ」
一気に喋った安音は崩れて泣いた。
「安音…、ありがとうね…。私はもう
大丈夫だよ。」
背中を擦りながら安音に言う。
続けて文香にも言う。
「お願い文香。前の文香に戻って
…。もういいでしょう。今の文香
は…きっと文香じゃないんだよ…。
お願い…。もとに戻ってまた一緒に
遊ぼうよ…」
怖かった。
またさっきのような言葉が
文香の口から出るかもしれないと
思うと怖かった。
でも、最後の賭けで最後の願いだった。

