少しするとうしろのほうでコソコソと話し声が
聞こえた。
「ね、ねぇ。これヤバくない?」
「私たち木下がいないっていったから手伝いに
きたんだけど」
「安音ちゃんが絡まったら絶対ヤバいよね」
「・・・逃げる?」
「逃げようか・・・」
そう小さく話し合った文香とその取り巻き達は
コソコソトイレから出ようとした。
ーキィ
さっき安音が開けたときとは違う耳につくうるさ
い音がドアを開けたと同時になる。
「まちなさいよ」
安音の静かで、でも意思の通った堂々とした
声が響く。
この場から逃げようとした奴らの動きが止まる。
「あんたたち、自分が何したかわかってんの?」
「は?」
「だから、あんたたち全員、この子に何したか
わかってんのってきいてんのよ!!」
安音は怒っていた。
今までに見た事のないくらい怒っていた。
それが文香たちだけに向けられているのかは
わからないけど安音は怒るという表現を超え
ていて安音の怒りの頂点に達していた。

