「やっと泣いた。」
文香は笑いながら言う。
「・・・どういうこと?」
「いくら蹴っても殴っても。物壊しても全く
泣かないんだもん。つまんない。でも、泣いた
。今日、初めて」
どうしたらいいかわからなくなった。
頭が混乱する。
「私はね・・・」
何を言われるのか怖い。
だけど、気になる。
いったい何を言うのか。
「私はね、あんたの泣き叫ぶ声が、泣いて
苦しんでる姿が見たかったのよ」
笑いながら文香がいった。
「助けてって、やめてって、苦しむ姿見るのって
最高に楽しいんだもの」
悪魔かと思った。
人間じゃない。
普通じゃない。
人が苦しんでる姿をみて楽しいなんて到底理解できない。
「さて、楽しませてもらおうか!」
そう言って、文香は汚れてびしょびしょにぬれてるモップを
私の体にゆっくりと近づけた。
「ぃや・・・いや。やめて!お願い!やめて!!」
「あーははは!ほんっと面白い!!」
笑いながら、文香がモップを近づける。
もう・・・無理だ・・・!
ぎゅっと目をつむった。

