by梨花
文香がモップを水も張ったバケツに入れて出す。
水を吸ったモップは少し重くなっているように
見えて、ポタポタと水滴が落ちていた。
「さて、今度こそ、本当のショータイムだよ」
にやりと気持ちの悪い笑みを浮かべて私に向かって
言う。
やだ。本当にヤダ。
こんなの今までの比じゃない。
本当にやめてよ・・!
「おねがい・・・。もう・・・やめてよ・・・」
そう正直に口に出した瞬間、目から涙が溢れた。
もう・・・限界だ。
「おねがいだから、もうやめて。」
ポロポロと涙が落ちる。
助かる可能性なんて低い。
だけど。
だけど、文香だって、必死でお願いしたら、
助けてくれるんじゃないかって思ったんだ。
ねぇ、文香。
もうやめて?
助けてよ。
「ふっ・・・」
「ふ、文香?」
文香が突然笑い出した。
「は・・あはは・・」
何を言い出すのかわからなかったけど、
嫌な予感だけはしてた。
「ほんっとおもしろい」
文香は迷いのない目で私に告げた。

