少し遠慮しながら挨拶をする女の子がいた。
「・・・、優香ちゃん?」
私に手紙を持ってきてくれたのは、梨花ではな
く、クラスメートの優香ちゃんだった。
優香ちゃんは俯いたように下をみている。
「優香ちゃん。どうしたの?なんで突然・・・」
最後まで言う前に優香ちゃんは顔を上げて言った。
「ごめんなさい!」
唖然とした。
「えーっと、優香ちゃん・・・?」
「ごめんね、安音ちゃん。友達なのに。
友達だったのに、助けられなくて・・・。」
そのことか。
優香ちゃんと私は少し前まで仲がよかった。
遠足のときも同じグループだった。
遠足のときはたまたまグループとはぐれちゃ
って、そのとき梨花を見つけたの。
そのあと、文香ちゃんに苛められて
一緒につるまなくなった。
きっと、優香ちゃんも文香ちゃんから
なにかしら脅しをかけられているのだろう。
「ごめん・・・、安音ちゃん。本当にごめん。
・・・助けたかったけど、文香ちゃんから
安音ちゃんに近づくなって言われてて・・・。
怖くて・・・助けられなかった。」
優香ちゃんは涙目で、所々止まりながらしゃべった。
「優香ちゃん」
名前を呼んでも優香ちゃんは顔をあげない。
「優香ちゃん」
もう一度名前を呼ぶ。
すると優香ちゃんはゆっくりと顔をあげた。
「・・・安音・・・ちゃん」
優香ちゃんは凄く驚いたような顔をした。
「安音ちゃん、なんで?怒ってないの・・?」

