なるべく凛と、堂々とした態度で教室に入る。
どうやら安音はまだだ。
あともう少しで自分に席に着くところだった。
「あら?杉原さん。今日は遅い登校なのね」
後ろから嫌な声が聞こえた。
文字だけで見ていたらなんてことのない台詞
だろう。
だけど、今私にかけられた台詞は決して朝の
のどかな風景を思わせる台詞ではない。
「文香。何か用?」
文香だ。
嫌味のような、バカにするような、今から
何かよからぬことが始まると思わせるよう
な、とにかく嫌な話し方だ。
そして、それに負けないよう、強めに返す。
すると、文香にはそれが気に入らなかった
らしい。
「何よ、その態度。私にそんな態度とって
いいのかしら?」
「・・・っ。」
卑怯だ。
この子がこう言った後は必ずと言っていいほど
良からぬ事が起きる。

