ータタタっ

下から足音が聞こえた。

や、ヤバい。
私は何もしてないけど、勝手に屋上に不法侵入し
たなんて誰かにバレたら、絶対にただ事じゃすま
ない。
もうヤダ。
安音っ!

「ちょっとあんたたち、何してんのよ!」

ほら、やっぱり。
もう無理だ・・・。

「梨花、大丈夫?」

え?

今なんて?

小さく縮めていた体を戻して恐る恐る後ろを見て
みる。

「・・・あん・・ね・・・?」
「梨花、大丈夫?何もされてない?」

安音だ。

安音は必死に私の心配をしてくれている。

助けてくれた。
やっぱり、安音がきてくれた。
いざと言うとき。
一人ではどうしたらいいかわからなくなったとき。
安音は私の前に現れる。
助けてくれる。
私には安音がいてくれる。
それだけで、もう怖い物なんかない。

「あんたたち、こんなとこで何してんのよ!あまり
にも梨花が帰ってくるのが遅いから探してたら、こ
んなとこに勝手に不法侵入してたなんて」

安音、探しにきてくれたんだ。
私が帰ってくるのが遅いから。

探しにきてくれるだけで嬉しいのに、安音は必死に私
の代わりに文香たちを相手にしてる。