「さっ、開けるよ〜」
そんな楽しげな声と同時に、なんの躊躇いもなく
ドアを開けた。
む、無理だよ。そんな事できないよ。
戸惑う私を無視して、文香はドアを開けた。
「おぉ、さっすが屋上!広いね♪」
私を残してみんなは屋上に入った。
そんなことしたくない私は、屋上には入らず
入り口の前で立ち止まってる。
「梨香~、何してんの?こっち来なよ~」
文香が間延びした声で言う。
前の私ならこのままみんなに流されてた
とおもう。
けど今の私は違う。
悪いってわかっていることに流されたりしない。
絶対に。
「ほら~、早くおいでよ~」
「嫌だ。絶対に行かない。」
誘ってくる文香に硬い口調で返した。
「え~、なによ。空気読めないな~。
何?ビビってんの?」
ーイラッ
さすがに今のは腹立つ。
だけど冷静さを失なったら負けだ。
小さく深呼吸をして、なるべく冷たく返す、。
「別に。そんなんじゃない。」
「じゃあ、さっさとこっち来なよ。仲間でしょ?」
な・・・かま・・・。
この子が言う仲間ってなんなのかな。
自分の都合の良いように動いてくれる人のこと?
この子が言う仲間ってただの道具?
なんなの・・・?
ていうか、もう帰っていいですかね?
なんかバカらしくなってきた。
そもそも私がここにいてわざわざこの子たちと
一緒に先生に怒られる必要ってないじゃん。
私はこの子たちと仲間なんかじゃない。
ましては、この子たちの道具になんか絶対ならない。
もう。さっさと帰ろう。
そう思って振り返って階段に足をかけたときだった。
「ちょっと、梨花、逃げんのかよ。やっぱり怖いの
か〜、優等生の梨花ちゃんだもんね〜。仲間を置いて
逃げちゃうもんね〜。」
「はぁ!?あんたたち何言ってんの?そんなんじゃ
ないわよ。私は私の正しいと思うことをしてるだけよ」
そうとうイライラしてる自分をなんとか抑えて冷静を
装う。

