いつも通りの朝。
でもちょっといつもと違う。
なにが違うかと言うと、クラスの様子。
私たちは小学6年生。
そして、明日は小学校生活最後の遠足なのだ。
だからクラス中、学年中が胸を躍らせている。
私、杉原梨花(すぎはらりんか)もそのうちの一員。
最後の遠足ということで好きな子たちと一緒に行ける。
みんながいつも以上に胸を踊らせているのもこれが1つの理由。
わたしもいつも一緒にいる仲良しグループと行くことになっている。
私とちょっと控えぎみの円香[まどか]天然ちゃんの由香里[ゆかり]幼稚園からの親友美琴[みこと]とリーダーの文香[ふみか]の5人。
6年になってからはいつも一緒。
本当に仲がよくて、クラスの子に褒められるくらい。
だから、このメンバーで遠足に行けるのが嬉しくて仕方ないんだ。

嬉しくてクスクス笑っていると、突然。
「りーんか!何ニヤニヤしてるの?」
「文香!?」
大きい声で言うから、ほかの3人も集まった。
「なになにどうしたの?」
「あのね〜、梨花がなんか一人でニヤニヤしててさ」
「ニヤニヤなんかしてないよっ!」
ちょっと文香さん!
そんな言い方したら誤解をまねくじゃないですか!
「え〜、何考えてたの〜。」
ほら見ろ。
由香里が勘違いしてるじゃないか。
「別に変なこと考えてないよ。
ただね、明日の遠足みんなで行けるって思うと嬉しくて」
「「「「そうだねっ!」」」」
みんなの声がそろった。楽しい遠足になるんだろうな。

みんなが浮き足立つ中での今日の学校はいつもの倍くらい早く終わった。
クラスの話題は遠足のことで持ち切り。
みんな飽きないのかなって思うくらいずっと同じ話題。
でもなんだかその教室の様子が楽しかった。
大好きな親友たちとクラスのみんな。
今日だけはいつも喧嘩してる人たちも全然喧嘩をしなくてむしろ仲が良くなったみたい。

信じられないくらい穏やかで平和な時が過ぎてる今が
今までにないくらい幸せだと思った。