ずっとひとりで歩いていた道を安音ちゃん
と歩く。
さっきは寂しくてずっと下を向いて歩いて
いた。
だから、せっかくの奈良の景色をちゃんと
見ていなかった。
安音ちゃんと一緒に歩いているとなんだか
ほっとする。
隣にいてくれるだけでこんなに違うんだね。
本当に感謝しなきゃ。
「あ、安音ちゃんみてみて!鹿がいるよ!」
「本当だ!かわいい〜」
あ、私なれなれしく安音ちゃんって呼んでるけど
いいのかな?
一応確認取ろうかな。
かってになれなれしくして嫌われても嫌だし。
「あ、あの安音ちゃん?」
「ん?なぁに?」
「私安音ちゃんって勝手に呼んでるけど
いい?」
「へっ。全然いいよ。
ていうか、安音でいいよ!」
「ありがとう。安音ちゃ・・・、
安音!じゃあ、私も梨花ってよんでほしい」
「了解っ!あらためてこれからよろしくね、
梨花っ!」
「うん、よろしくねっ、安音!」

この瞬間私と安音は本当の友達になった。
そんな感じがした。