「ふーん」
「安音・・・ちゃん?」
「あのさ、要するに梨花ちゃんはひとりになるのが
怖いだけなんじゃないの?」
「えっ」
「ひとりになりなくないから、なんとしても
文香ちゃんのところにしがみついていないと
だめなんじゃないの?」
「・・・っ」
そうだ。
新学期のときみたいにひとりぼっちになるのが
怖かったんだ。
もうあんな心細い思いはしたくないって思った。
だから、グループからはみ出ないように
しがみついていたんだ。
どうしたらいい?
私・・・、どうしたらいいの?
ひとりぼっちにはなりたくない。
だけど文香たちのところに戻っても・・・。
「ねえ、梨花ちゃん」
「・・・何・・・?」
「うちのところに来なよ?」
「・・・え?」
「ひとりぼっちになるのがいやなんでしょう?
だったらうちのと一緒にいよう!
無理にとは言わないけど、このまま文香ちゃん
のところに戻るのは嫌でしょう?」
コクンと首を動かす。
「梨花ちゃんが寂しい思いをしなくてもいいように。
うちと一緒にいようよ。
うちも梨花ちゃんと一緒にいたいんだ。
私じゃ文香ちゃんたちの代わりになれないかな?」
ぶるぶると首を左右に振って答える。
「ううん、すっごく嬉しい。
ありがとう、安音ちゃん。」
『うちと一緒にいよう!』
このとき私は、この言葉はひとりでどうしたら
いいかわからなくて心細さと不安で押しつぶされそうな
私に差し伸べられた光だと思った。

信じて良いよね?
もうひとりぼっちになんかならないよね?
安音ちゃんと一緒にいてもいいよね?

「じゃ、いこっか!」
「うんっ!」

私は安音ちゃんと並んで歩いて行った。