声をかけてくれたのはクラスの子だった。
木下安音[きのしたあんね]ちゃん。
あんまり関わりはなかったんだけど
声をかけてくれたのが嬉しくて安音ちゃんの前で
ボロボロと泣いてしまった。
少したって泣き止んだ。
ずっと泣いてる私のとなりで安音ちゃんは
隣で座っていてくれた。
「ごめんね安音ちゃん。ありがとう」
やっとのことで泣き止んで言った言葉はそれだけだ。
「ううん、ぜんぜんいいよ。ねえ、そんなことよりさ・・・」
「ん?」
「なんで梨花ちゃん一人なの?」
「え?」
うっ。
い、痛いトコを・・・。
答えてもいいかな。
文香たちに悪いかな。
こんなことを最初は思ったものの一人で抱えてると自分が
押しつぶされそうで。
とにかく誰でもいいから話したかった。
「あのね・・・」
安音ちゃんに今日あったことを話した。
「ふ〜ん、なるほど」
安音ちゃんは私の話を聞いて考えるように黙り込んだ。
「あ、あの、安音ちゃん?」
「ねえ」
「は、はいっ」
「文香ちゃんたちって、梨花ちゃんの友達?」
「そうだよ。ずっと一緒にいる親友・・・。」
親友・・・だよね。
「本当に?」
え?どういう意味?
「あのさ、普通親友を仲間はずれにしたり、一人にしたりしなくない?」
「・・・。」
「私だったら、ていうか誰でもだけど、友達を一人にしたり絶対しない
と思うんだよね。むしろ、一人でいたら呼びに行くと思うんだ。」
「・・・。」
言葉がでなかった。
なんて返したらいいかわからなかったから。
安音ちゃんは続けて話す。
「ましてや、親友って言ってる子を仲間はずれにするって
どう考えても・・・おかしくない?」
「・・・。」
それもそうだ。
安音ちゃんの意見は正しい。
「あのさ、こんな言い方しちゃ悪いんだけど、
文香ちゃんたちは本当に梨花ちゃんの友達?」
「え・・・?」
友達に決まってる!
そうすぐに言いたかった。
けどなぜか言葉がすんなり出てこないんだ。

