奈央くんは私の目の前をスレスレで通り過ぎ、家を出て行った。 「響子、大丈夫?」 奈央くんにぶつからずに済んだ。 腕を引いたのは、成海くんだった。 『成海くん……』 「奈央のことは気にするな。もう寝ろ。新学期で疲れただろ?…おやすみ」 成海くんは私の頭を撫で、自分の部屋に戻った。