「別れても、好きでいていいですか…?」

 やることはいつも唐突で大胆、頭も切れるし要領もいい。そのくせ妙なところで臆病になって、頭がいいわりに出す答えはいつも単純だ。

 子供なんだよな──櫂はそんなことを思った。一皮むいてみれば樫木美和はまだ何も知らない子供だった。怖いもの知らずで、無垢な。

 彼女は本当に、これからこの家で暮らしていくのだろうか?

 櫂には未だにその実感が伴わなかった。



 あれだけ悪戦苦闘したあげくできた夕食の食事は、カレーライスだった。

「……レシピ見てカレーね」

「うるさいなもう!」

 櫂の呟きを美和は聞き逃さなかったらしい。ダイニングテーブルにカレーを並べながら頬を膨らませた。加菜子も抗議の声をあげる。

「そうよ櫂。せっかく美和ちゃんが作ってくれたんだから」

「けどな。あんな大量のカレーをいったい誰が食べるっていうんだよ」

 一つの鍋に入りきらず鍋三つ分になった大量のカレーがキッチンに置かれている。いろいろ味付けしている間に、みるみるうちに分量が多くなってしまったらしい。

 さすがにいいわけができなくなったのか、美和は囁くようにいった。

「……明日などに」