私は、高校一年の杜山有紀。
どこにでもいそうなごく普通の高校生。
そんな私はなぜかクラスのイケメンと付き合っている。
彼氏の名前は奧村悠紀。
たまたま名前が一緒で、席も近くて良く話すようになった。
まぁ悠紀は無口だし、たまに喋っても毒舌だから、悠紀のともも含めで遊んでた。
私が悠紀を好きな事は悠紀以外みんな知ってた。クラスの女子高生も。
悠紀はモテるから日頃から何かと悠紀のグループといっしょにいる私が気に入らなかったんだど思う。入学してからすぐ初めのイジメのターゲットは私になった。つらくてしょうがなかった私を助けてくれたのが悠紀だった。
その日も私の上靴は下駄箱になくて、私はまた上靴を探し始めた。
もうとっくに一限目は始まっていて、中庭には私しかいない。
いつもはゴミ箱やトイレにあるのに、今日は何処にも無くて、諦めた私は中庭の隅にあるベンチに腰掛けた。
目の前にある桜の花が綺麗。 春風にのりながら悠紀の香水の匂いがした。
「何で泣いてんの?」悠紀がだるそうに聞く。
無言のわたしに悠紀が渡したものは私のうわ履だった。
「ん。屋上に落ちてた。てゆうかお前アレだな。
顔が泣いたのび太みたいになってるぞ。」
いつもは笑って受け流す悠紀の毒舌も今の私にとっては心臓に突き刺さる針のように痛い。