病室を出て、すぐそこでヤツはうろうろしていた。
「おい」
と乱暴に声をかけたら、ホッとした顔でこっちに来た。
「よかった…無事だったんだ………」
とか言う優も傷だらけ。
「あのさ、僕、しばらくまた施設に入るらしいね」
「は??ばーちゃんだっけ、誰かの家にいるんじゃなかったっけ??」
「うん。でも、ばーちゃんも父さんと母さんにちょっとやられて、自分の事で精一杯みたいなんだって」
「へぇ。で、どこの??」
「結構遠いよ?北公園から電車で30分くらいするんだって。夏香の家の反対方向に」
イタズラっぽく笑ってたけど、実際、心のなかじゃ笑ってねーだろ。
「結論、しばらく会えないと言いたい。でしょ?」
先回りして言う。
「うん、まぁね。
でも、まらメールとかするから、ちゃんと返信してよ!!」
「……で?どのくらい施設にいる予定?」
それは結構長いものだった。