「疑う?」


「別に寝てなくてもいい気がするのに」


押さえつけられてるんですけど。


右肩だけが。


「そう?」


優の左手には体温計がちゃっかりと。


「貸して」


「5分前にも計ったけど…」


知るか。


そう思って、起き上がっても…。


確かに体が重い。


でもなんかここで負けを認めたくなくて、体温計を挟んだ。


「夏香ぁ」


呆れた口調で呼ばれた。


「しんどいんだったら寝てなよー」


「ヤダ」


「ん、体温計鳴った。ど?」


認めたくない。38.5°C。


「ほーらね」


…ムカつく。