そんなこんなで、がっくり肩を落として歩いていた。
テンションも上がらず、カラオケは延期。
ほとんど前を見ずに歩いていたから、
「坪井さんっ!」
と呼ばれてびっくりした。
「わっ!?って!!」
「あ、すいません……」
たしか、涼花ちゃんだ。
優の元カノで、1週間ぐらいでフラれたんだっけ。
「久しぶり」
大人しい見た目と性格。
でもその中にはしつこい顔があるから、冷たく当たってみた。
「久しぶり……ですね」
何だよ今の間は。
「また坪井さんとお話ししたいなと思ったんですけど、大丈夫ですか?」
「別に」
「じゃあ、近くに喫茶店ありますよね?
そこに行きましょう?」
相変わらずな敬語を聞いて、格下相手を見るような態度でいた。
それは、大きな間違いだった。