「私、リクくんの近所だったんです」


!?


「リクって、まさか!?」


「はい、そのまさかの……宮本くんです」


昔、優はリクと言う子で、だけど親に虐待されて、


完全に記憶を失ったらしい。


当然、名前も忘れたらしい。


それじゃあ困るから、施設の人?が”優”と名付けたらしい。


「リクくん、その時から坪井さんの事ばっかりで」


「ハァっ!?」


「『今日ねー、ナツカちゃんと絵本読んだー』とか、


とにかくナツカちゃん、ナツカちゃんって」


「へぇーーー。


で、アンタはその時から優が好きだった系な話?」


「いや、それは違いますが……」


つまらんな。


「リクくんの話の7割がナツカちゃんで」


「多すぎだろ」


「でも本当ですよ?」


「へぇ」


「それから、リクくんがどこかに行って、


スグルくんになったのは知ってました」


近所だから、知ってて当然だろ。