君がいちばん好き

「尊敬する人?」
「はい。もーすぐいらっしゃると思いますが…」
「え?」と口から出たと同時に事務所のドアがノックされて開く。

ドアから入ってきた男性はややくたびれたシャツにネクタイを曲がってつけていた。
「ゴメン!遅くなった」
額に汗をにじませて沼久保くんに手を合わせている男性はちょっとくまのぷーさんに似ていた。

「高原さんお疲れ様っす。まだこっちも作業中だったんで大丈夫っす」
沼久保くんが椅子から立ち上がる。
「よかった…」
くまのぷーさんと目が合った。
私は軽く会釈する。
沼久保くんがすかさず私をくまのぷーさんに紹介する。
「販売部の桜川さんです。仕事手伝ってもらってました」
紹介されたので私も椅子から立ち上がる。
「初めまして、販売部の桜川優子ともうします」
しかしくまのぷーさんは苦笑いして言う。
「初めまして、か。」
「え、お会いしてます?」
私は焦る。
そして仕事関係の知り合いをいろいろ思い出すが、くまのぷーさんは思い出せない。
それに気付いたくまのぷーさんは自己紹介をする。
「本社営業部の高原修斗です」

本社営業部、高原修斗。

「…」
言葉がつなげない私を見て沼久保くんが興味津々に聞いてくる。
「なんすか?」
くまのぷーさん、高原営業部長は癒し系の顔に笑みを浮かべた。
「同期だよ」

そう。同期一の出世頭、そして同期一の惜しい男。

かつては女子社員が彼女の座を競っていたりもしたが、今は…

「高原くん、おじさんになったね…」